ものづくり補助金申請のポイント

2023年7月4日

ものづくり補助金の14次締め切り分の申請のポイントをまとめました。

ものづくり補助金

令和元年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公募が開始されました。

申請期間は以下のとおりです。

申請開始:令和5年3月24日(金) 17時

申請締切:令和5年4月19日(水) 17時

申請は、電子申請システムのみで受け付けなので、GビズIDプライムアカウントが必要です。

https://gbiz-id.go.jp/top/#getid

ID発行までに2週間程度かかるので早めの手配をしましょう。

補助金の目的

補助金の目的は、今後複数年の制度変更に対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資です。

この目的に当てはまる設備投資を計画しましょう。

申請の流れ

  1. 申請 ●
  2. 採択通知
  3. 交付申請 ●
  4. 交付決定
  5. 事業の開始 ●
  6. 実施報告 ●
  7. 確定検査
  8. 補助金請求 ●
  9. 補助金支払

●印のある項目を企業側が対応することになります

対象者

資本金や常勤従業員数が下表の数字以下の企業が対象です。役員や個人事業主は従業員に含みません。

業種 資本金 常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業 3 億円 300 人
卸売業 1 億円 100 人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) 5,000 万円 100 人
小売業 5,000 万円 50 人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3 億円 900 人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3 億円 300 人
旅館業 5,000 万円 200 人
その他の業種(上記以外) 3 億円 300 人

ほか、所定の組合等や特定事業者の一部なども対象です。(公募要領8~9ページ)

対象外になる事業者

他の補助金・助成金や過去のものづくり補助金と同じ・重複している事業など、対象外となる事業もあるので要確認です。

申請要件

期間3~5年で以下の4つの要件をすべて満たす計画を立てます。

※基本要件の一部を満たさないときは、返還義務が発生します。

補助事業を実施する工場や店舗を有していることが必須

土地のみ確保や建設予定は対象外。所有権や賃貸借契約で使用権が明確になっていることが必要。

以下に該当すると取り消し、不採択になる

主要な課題を解決するための取り組みを外注・委託する事業

企画だけ行う事業

資産運用的性格の強い事業(コインパーキング等)

購入した設備を賃貸する事業

公序良俗に反する事業など

申請枠ごとの補助金額・枠固有の要件など

何のための設備投資か(~に必要な設備投資)従業員数に応じた補助金上限額
(グリーン枠の一部は下限異なるので記載)
補助率
通常枠革新的な製品・サービス開発
生産プロセス・サービス提供方法の改善
5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円

1/2
小規模・再生事業者:2/3
回復賃上げ・雇用拡大枠業況厳しい(課税所得0円以下)が賃上げ・雇用拡大に取り組む
革新的な製品・サービス開発投資など
5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円
2/3以内
デジタル枠DXに役立つ製品・サービス開発
デジタル技術を活用した生産プロセス等の改善
5人以下:750万円
6~20人:1,000万円
21人以上:1,250万円
2/3以内
グリーン枠温室効果ガスの排出削減に役立つ革新的な
製品・サービス開発

炭素生産性向上を伴う生産プロセス等の
改善による生産性向上
(エントリー類型)
 5人以下:750万円
 6~20人:1,000万円
 21人以上:1,250万円
(スタンダード類型)
 5人以下:750万円~1,000万円
 6~20人:1,000万円~1,500万円
 21人以上:1,250万円~2,000万円
(アドバンス類型)
 5人以下:1,000万円~1,500万円
 6~20人:1,500万円~3,000万円
 21人以上:2,000万円~4,000万円
2/3以内
グローバル市場開拓枠海外直接投資
海外市場開拓
インバウンド市場開拓
海外事業者共同研究開発
3,000万円1/2
小規模・再生事業者:2/3

グリーン枠以外の補助金の下限額は、100万円です。

通常枠を除く4つの枠で追加要件があります。

回復型賃上げ・雇用拡大枠は、追加の返還要件もあります。

大幅賃上げで補助金上限額引き上げ

各申請枠からの引き上げ額5人以下:最大100万円引き上げ
6~20人:最大250万円引き上げ
21人以上:最大1,000万円引き上げ
追加要件給与支給総額:年率平均1.5%+4.0%=6%以上増加
事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上かつ毎年45円以上増額
具体的・詳細な事業計画を提出

主な対象経費

  • 機械装置・システム構築:50万円以上
  • 技術導入費:知的財産権の取得など。専門家経費・外注費の発注先は分けないといけない
  • 専門家経費:事業計画作成の費用は対象外
  • 原材料費:試作品の開発分で、使い切った分のみが対象
  • 外注費:新製品等の開発に必要な加工や設計など
  • 海外旅費:海外事業の拡大に必要不可欠な渡航・宿泊費など
  • 広告・販促費:グローバル市場開拓枠の海外市場開拓累計のみ対象。海外展開に必要な広告作成、媒体掲載、展示会出展など。

必要書類

・事業計画書:10ページ以内

  その1:具体的取組内容

  その2:将来の展望

  その3:付加価値等の算出根拠

・誓約書:補助経費に関する誓約書、賃金引上げ計画に関する誓約書

・直近2期分の決算書、個人は確定申告書、設立直後の場合は、設立事業計画書

・従業員数の確認資料:法人・・法人事業概要書の写し、個人事業主:青色申告決算書、白色申告収支内訳書

・労働者名簿(申請は21名以上だが、上の従業員数確認資料で20人以下となっているときのみ提出)

・<再生事業者のみ>再生事業者であることの証明

・<回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ>確定申告書など:課税所得が0円以下

・<グリーン枠のみ>炭素生産性向上計画及び温室効果ガス排出削減の取組状況

・<グローバル市場開拓枠のみ>海外事業の準備状況

・<大幅な賃上げを行う事業者のみ>大幅な賃上げ計画書

加点となる任意書類

・成長性加点:経営革新計画承認書※、計画の写し

・政策加点

  個人の場合・・・開業届、法人の場合・・・履歴事項全部証明書

  <デジタル枠のみ>サイバーセキュリティお助け隊の契約書の写し

・災害等加点:事業継続力強化計画認定書※、計画の写し

・賃上げ加点:<被用者保険の適用の拡大の場合>特定適用事業所該当通知書

※応募締切時点で承認を受けていて、計画期間中である場合のみ加点対象

審査項目・加点項目

審査項目

共通の審査項目は、次の4つです。

(1)補助対象事業としての適格性・・・付加価値の増加率など要件満たす

(2)技術面・・・革新的な開発で、課題設定・解決方法・目標達成度の考え方を明確にする、優位性、実施能力示す

(3)事業化面・・・事業を遂行できる社内外体制と財務状況。利用者、市場ニーズ・規模を明確にし、価格・性能で優位性・収益性有することを示す。

(4)政策面・・・①地域の特性生かして高い付加価値創出(地域未来牽引企業)。②ニッチ分野で差別化し、グローバル市場でトップ取る潜在性。③複数事業者連携。事業承継を機に新しい取り組み。④先端デジタル技術・低炭素技術活用。⑤ウィズコロナ・ポストコロナに有効な投資。

申請枠や特例によって審査項目が追加となります。

グリーン枠のみ

(5)炭素生産性向上の取組等の妥当性

グローバル市場開拓枠のみ

(6)グローバル市場開拓の取組等の妥当性

大幅な賃上げにかかる補助上限額引上げの特例を受ける場合のみ

(7)大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性

加点項目

(1)成長性加点:経営革新計画(有効な期間内、承認済み)

(2)政策加点

    ①創業、第二創業から5年以内

    ②パートナーシップ構築宣言公表

    ③再生事業者

    ④<デジタル枠のみ>デジタル技術が社会や自社の競争環境に与える影響の公表、それを踏まえた経営ビジョン・ビジネスモデル公表(他4つ)

    ⑤令和4年度健康経営優良法人認定

    ⑥J-Startup、J-startup地域版に認定された事業者

    ⑦<グローバル市場開拓枠のうち②海外市場開拓類型のみ>「新規輸出 1 万者支援プログラム」に登録した事業者

    ⑧<グリーン枠のみ>取引先がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている

(3)災害加点:事業継続力強化計画の認定受け、有効期間中

(4)賃上げ加点等(2項目)

通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠(②除く)は、最大6項目で加点。

デジタル枠は、最大12項目で加点(④の6項目それぞれが加点対象)。

グリーン枠、グローバル市場開拓枠のうち②海外市場開拓類型は、最大7項目で加点となります。

経営革新計画、事業継続力強化計画、そしてパートナーシップシップ構築宣言は、申請までに取得できる可能性があるので取っておきたいところです。

まとめ

大きく変わったものづくり補助金は、賃上げへの圧力が強めとなっていますが、審査項目で求められていることを漏れなく事業計画に書き込んでいくことはこれまでどおり変わりありません。

加点項目は、すぐに取得できないものが多いので早めの対応が必要です。